施設害虫に対する生物農薬の利用

生物農薬は狭い意味では、寄生性昆虫、捕食性昆虫、捕食性ダニ類、病原微生物(昆虫ウイルス、バクテリア、糸状菌、原虫、線虫)とその生成物を大量に生産して農薬的に使うものである。また、昆虫の生産する性フェロモン、集合フェロモン、カイロモン(昆虫の行動に影響を与える他の種類の生物が生産する化学物質の総称)なども広く見れば生物農薬と言える。現在の農薬登録数を第1表に示した。また微生物農薬を第2表に示した。ここでは狭義の生物農薬について解説する第3表。。現在登録され市販されているものはハウスなどの施設内に栽培されている作物に発生する害虫を対象としている。一般圃場ではカミキリムシ類を対象とした寄生菌製剤、広く鱗翅目害虫を対象としたバクテリア製剤が市販されている

害虫の種類   生物農薬          作物名            

アブラムシ類 アフィデント イチゴ、キュウリ、メロン、スイカ
アフィパ−ル イチゴ、キュウリ、ナス、ピ−マン、メロン、スイカ
ヒゲナガアブラムシ エルビパ−ル トマト
アザミウマ類 スリポ−ル ナス、ビ−マン、キュウリ
ククメリス ナス、キュウリ、ぴ−万、メロン、イチゴ、トマト
デジェネランス
マメハモグリバエ マイネックス トマト、シュンギク、ナス
ハダニ類 スパイデックス イチゴ、キュウリ、スイカ、オオバ、ピ−マン、ナス、ブドウ
コナダ二類 エントマイト ホウレンソウ
コナジラミ類 エンストリップ トマト、キュウリ、ナス、メロン
エルカ−ル ナス、トマト、キュウリ

スパイデックス(Phytoseiulus persimilis) チリカブリダニ

製品の姿

チリカブリダニ雌成虫

チリカブリダニ(プレパラ−ト)

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スパイッデクス・トモノカブリダニPP  チリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis) 
チリカブリダニ雌成虫は体長約0.45mm、雄成虫は約0.35mmの赤橙色で活動性に富む。卵は乳白色の楕円形で長径約0.12mmである。発育ステージは卵、幼虫、若虫、成虫で性比は約4:1(雌:雄)である。 捕食活動の最適温度は20〜25℃で発育零点、産卵低温限界温度は10〜12℃であり最高限界温度は約30℃ある。湿度は多湿を好み50%以下では悪影響がある。発育速度は25℃で約7日、雌成虫の寿命は約30日である。移動は水平方向に数mである。 1日の餌ハダニ捕食数は若虫はハダニ若虫を5頭、成虫はハダニ成虫を5頭あるいは幼虫を20頭または卵を20頭程度である。 雌成虫の総産卵数は約60卵で1日当り最大約3個の卵を産下する。 原産地は南米チリや地中海沿岸諸国とされている。

使用方法:
1)チリカブリダニ製剤は、水分を含んだ細かいバーミキュライトのキヤリアーを入れた500mlのポリエチレンボトルに約2000頭が入っている.生存日数が短いので、入手後直ちに使用する。
2)容器中でチリカブリダニが遍在していることがあるので、容器を横にしてゆっくり回転させて均一に混在させてのち10a当り500ml(チリカブリダニとして約2000頭)を葉の上に容器から少量ずつ振りかける。
3)ハダニ類の発生初期で、チリカブリダニ1頭に対してハダニ類が60頭以下の時期に放飼し、1〜2週間後に追加して圃場全面に放飼することが望ましい。       

使用上の注意                    
1)チリカブリダニ導入には20〜25℃が最適な温度条件である。
2)チリカブリダニの活動に影響を及ぼす恐れがあるので、放飼前後の薬剤散布は避ける。
3)ダニ返しなどの機械的防除法を実施し温室にハダニ類の進入を防止する。
4)施設内外の雑草を除去しハダニ類の繁殖を防止する。
5)下葉かきなどの作業を実施し温室外に出し、廃棄処置を完全にする。

防除効果の判断 
 チリカブリダニによる防除効果の発現は導入後約3週間前後と非常に遅効的であり、定着すれば数カ月以上長期にハダニを抑制することができる.

チリカブリダニによるカンザワハダニの生物的防除効果に及ぼす温度の影響 真梶 徳純、森 樊須 果樹試験場報告(E) 1976
チリカブリダニに対する農薬の影響 真梶 徳純 果樹試験場報告(E) 1976
チリカブリダニの捕食量と産卵数について 芦原 亘、真梶 徳純、浜村 徹三 果樹試験場報告(E) 1976
チリカブリダニの越冬 浜村 徹三、真梶 徳純、芦原 亘 果樹試験場報告(E) 1976
チリカブリダニの発育期間と温度との関係ならびに産卵数(英文) 浜村 徹三、真梶 徳純、芦原 亘 果樹試験場報告(E) 1976
チリカブリダニに対する農薬の影響 真梶 徳純、足立 年一 果樹試験場報告(E) 1978
チリカブリダニの食性 芦原 亘、浜村 徹三、真梶 徳純 果樹試験場報告(E) 1978
チリカブリダニの低温貯蔵 浜村 徹三、真梶 徳純、芦原 亘 果樹試験場報告(E) 1978
チリカブリダニが生物的防除効果を発揮する高温側の限界温度 真梶 徳純、浜村 徹三、芦原 亘 果樹試験場報告(E) 1978
チリカブリダニの園芸作物上における分散 浜村 徹三、真梶 徳純、芦原 亘、井上 晃一 果樹試験場報告(E) 1980
チリカブリダニを利用したハウススイカのハダニ防除 矢野 貞彦・東 勝千代 和歌山県農業試験場研究報告 1983
チリカブリダニの増殖法 Ⅰ.餌ハダニの増殖用植物と餌ハダニの種類の検討 芦原 亘、井上 晃一、刑部 勝 果樹試験場報告(E) 1986
チリカブリダニの増殖法 第2報 飼育密度の検討 刑部 勝、芦原 亘、井上 晃一 果樹試験場報告(E) 1988
チリカブリダニの発育と産卵に及ぼす数種農薬の影響 芦原 亘、井上 晃一、刑部 勝 果樹試験場報告(E) 1988
促成栽培イチゴにおける害虫管理III チリカブリダニによるハダニの防除 根本 久 関東東山病害虫研究会年報 1992
薬剤抵抗性チリカブリダニ(DAS系統)利用による施設野菜ハダニ類の生物的防除に関する研究 中尾 弘志 北海道立農業試験場報告 1992
ガラス室ブドウのカンザワハダニに対するチリカブリダニの放飼効果 芦原 亘、井上 晃一、刑部 正博、浜村 徹三 果樹試験場報告(A) 1992
施設栽培のオオバにおけるチリカブリダニによるカンザワハダニの防除 田中 寛、上田 昌弘、溝淵 直樹、柴尾 学 関西病虫害研究会報 1993
チリカブリダニに対する農薬の影響 −特別連絡試験成績検討会から− 浜村 徹三 農薬ガイド 1994
オレイン酸ナトリウム液剤のナミハダニに対する防除効果および捕食性天敵チリカブリダニに対する影響 松田 径央、宮田 哲至、村井 啓三郎、安富 範雄、後藤武司、高木 康至 関西病虫害研究会報 1994
チリカブリダニの使い方 足立 年一 農薬ガイド 1995
イチゴのカンザワハダニに対するチリカブリダニによる防除効果と両種に対するくん煙剤の影響 柴尾 学、根来 実、田中 寛 関西病虫害研究会報 1995
チリカブリダニによるハウス栽培作物のハダニの生物的防除のシミュレーション 1.モデルの適合性と必須データ 斎藤 裕、浦野 知、中尾弘志、網本邦広、森 樊須 日本応用動物昆虫学会誌 1996
チリカブリダニによるハウス栽培作物のハダニの生物的防除のシミュレーション 1.実用化をサポートするモデル 斎藤 裕、浦野 知、中尾弘志、網本邦広、森 樊須 日本応用動物昆虫学会誌 1996
施設栽培イチゴにおけるチリカブリダニの利用 体系防除連絡試験より 浜村徹三 農薬ガイド 1997
施設栽培イチゴにおけるチリカブリダニの利用法 浜村徹三 植物防疫 1997


エルビパ−ル(Aphidius ervi) エルビアブラバチ


製品の姿

ヒゲナガアブラムシを攻撃するアブラバチ

アブラバチの羽化した脱出孔

エルビアブラバチの前翅


 各種ヒゲナガアブラムシ類を特異的に攻撃するアブラバチ科(Aphididae)の一種のAphidius ervi がアブラムシの被害を減少させる!ビデオをごらんになりたい方はクリックして下さい

2.アブラムシ類  アフィパ−ル・トモノアブラバチAC   コレマンアブラバチ(Aphidius colemani)       
コレマンアブラバチの特徴 アブラバチの1種で、原産地が地中海沿岸から中央アジア、インドとされる.オランダでアブラムシ防除に最初にこのアブラバチが使用されたのは1985年の事です.日本では平成4年からきゅうり、いちごでの試験を開始し、平成10年に農薬登録されました。今後の適用作物は、なす、ピーマン、メロン、すいか等でしょう。体長は雌成虫1.7−2.2mm雄成虫1.7−2mm体色は暗褐色の寄生蜂です.コレマンアブラバチは、卵、幼虫(4令)、蛹、成虫を経過して発育し、成虫を除いてアブラムシの体内で発育します.羽化1日後に交尾して数時間後には産卵し性比は雄1:雌2です。 雌成虫の寿命は20℃では6日間、2 5℃では4日間でそれぞれ300個と400個を産卵する.アブラムシ数が少ないときは同じアブラムシに重複して産卵する。20℃の1世代は約22日を要します。 雌成虫の産卵限界温度は5℃、幼虫は4℃でも発育する等、低温条件に強いと思われるが0℃では2週間で生存率5%と弱いようです.一方 30℃の高温では発育が阻害されます。 コレマンアブラバチの寄主数は54種、重要害虫モモアカアブラムシに高い選好性と適合性を示す。

使用方法:
1)100mlポリエチレンビンに500頭のマミーと緩衝材として少量の木屑が入り、キャップの中に羽化したコレマンアブラバチ成虫の餌としてハチミツを含んだパットがある。
2)コレマンアブラバチは比較的高温を好み、2 0〜2 7℃が最適な温度条件です.生存日数が短いので、入手後直ちに使用する。
3)コレマンアブラバチの放飼は、施設内で容器を開封し、10アール当り2本(1m2当りl頭)の割合で行う。アブラムシ類の発生した株の株元の地表面に1週間連続して容器を静置する.
4)アブラムシ類の生息密度が高まってからの放飼は十分な効果が得られないことや、容器内の寄生蜂がすべて成虫になるまで数日間かかるため、アブラムシ類がまだ低密度のときに最初の放飼をすること.
5)天敵としてコレマンアブラバチが有効な密度を保つため、1〜2週間後に再び放飼することが望ましい。

使用上の注意
1)アフイデント(ショクガクマバエ)と併用するとより高い防除効果が得られます。
2)コレマンアブラバチの活動に影響を及ぼす恐れがあるので、放飼前後の薬剤散布は避ける.
3)施設周辺の雑草等がアブラムシやウイルスの発生源となるので除草を徹底します。
4)野外から侵入する有翅アブラムシを防ぐために出入口、側窓や出来れば天窓にも防虫ネット(1mm目)を張る。

防除効果の判断 
 寄生されたアブラムシは10日〜2週間後くらいで薄茶色のマミーとなり防除効果が確認されます. 

アフィデント(Aphidoletes aphidimyza) ショクガタマバエ

雄成虫

雌成虫

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アフィデント ショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)           
ショクガタマバエの特徴 ショクガタマバエは双効目タマバエ科に属し、日本を含み広く北半球に分布するアブラムシ防除の有力な捕食性天敵である.1978年フィンランドで最初に市販されたが、1980年代後半のオランダでの突発的なツタアブラムシの増加に対応して、1989年市販を開始した。日本では平成4年からきゅうりでの試験を開始し、平成10年に農薬登録された。今後の適用作物は、いちご、なす、メロン、すいか等となる。 日本での分布は九州から北海道まで、1属1種の捕食性昆虫です.成虫の体長は2.5−3.0mm。脚は細く長い.雄の触角は長く、雌は短い。交尾後雌成虫はアブラムシやその甘露に誘引されて産卵します.卵は0.1〜0.3mmで赤褐色の楕円形、ふ化幼虫がアブラムシ幼虫や成虫を捕食します。老熟幼虫は土壌中で繭を作り蛹化します. 21℃の生育日数は成虫10日、卵3日、幼虫10日、蛹14日で性比は雌1.7:雄1.0である。発育零点は卵10.5℃,幼虫8.1℃、蛹9.2℃である。モモアカアブラムシ等を含む約60種のアブラムシを捕食します。1雌の総産卵数は約250卵で、1頭当り70頭のアブラムシを捕食します。

使用方法:
1)500mlのポリエチレンビンに1000頭の繭と緩衝材のバーミキュライトとキャップの中に羽化したショクガタマバエ成虫の餌としてハチミツを含んだパットがある。
2)放飼時期はアブラムシ発生初期段階のコロ−ニ−が形成されつつある時期が望ましい。
3)放飼に当たっては容器中でショクガタマバエが偏在していることがあるので、容器を横にしてゆっくり回転させて均一に混在させたのち、10アール当り2ボトルを施設内の20ヶ所程度に分けて放飼します.実際の手順はアブラムシ発生株の株元に2キャップづづ処理し、成虫の羽化と交尾を高めるため素焼き鉢(穴開き)等を被せる.放飼は7日毎に3回程度繰返します。ショクガタマバエの生存日数は短いので、入手後直ちに使いきる。

使用上の注意
1)日中の施設内の平均室温が21℃を下回らないように注意すること。
2)ショクガタマバエの活動に影響を及ぽす恐れがあるので、本剤の放飼前後の薬剤散布は避けること。
3)アフイパール(コレマンアブラバチ)と併用するとより高い防除効果が得られます.
4)施設周辺の雑草等がアブラムシやウイルスの発生源となるので除草を徹底します.
5)野外から侵入する有翅アブラムシを防ぐために出入口、側窓や出来れば天窓にも防虫ネット(1mm程度)を張る。

防除効果の判断 
 放飼2週間後くらいで葉裏にショクガタマバエ幼虫と捕食されたアブラムシの残骸が確認されます.。

エンストリップ(Encarsia formosa)  オンシツツヤコバチ

製品の姿

雌成虫

雌成虫

雌成虫(プレパラ−ト)

コナジラミ体内のツヤコバチ蛹

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3.コナジラミ類  エンストリップ オンシツツヤコバチ(Encarsia formosa)          

オンシツツヤコバチの特徴 オンシツツヤコバチ雌成虫は、体長約0.6mm、頭部は濃褐色、胸部は黒色で側面は黄色、腹部は黄色で脚部は黄褐色である。雄成虫は雌よりもやや大きく腹部が黒褐色である.原産地はアメリカ南西部とされています.オンシツツヤコバチは、卵、幼虫(1〜3令)、蛹、成虫を経過し、成虫を除いて全てコナジラミ幼虫や蛹の体内で発育します.繁殖方法は、産雌単為生殖で雄は過寄生の時に出現し繁殖には関与しません。寄生活動の最適温度は25℃前後、最適湿度は75%とされています。発育零点、産卵限界温度は11℃前後、飛翔限界温度は17℃、30℃の雌成虫の寿命は数日といわれています。 雌成虫の飛翔距離は10〜30mで、葉裏に寄生する幼虫を探索します。雌成虫の寿命は2〜3週間ではコナジラミ2〜4令幼虫(特に3〜4令前半)に産卵し、産卵寄生されたフナジラミ幼虫は4令中期まで発育し10日(平均25℃で)で黒化するので未寄生のものと容易に区別できます。 最適温度での総産卵数は約300卵、1日当りの産卵数は約16卵といわれています。また雌成虫は栄養摂取の目的でコナジラミの甘露を摂取したり、2〜4幼虫に産卵管で穴をあけて体液を吸収し死亡させる習性で 、雌成虫当り約150頭の幼虫を餌とする。                     

使用方法:
1)オンシツツヤコバチの製剤は1箱に3×4cmのカ−ド6枚つづり(切取線でつながっている)が7枚、計42枚のカードが入っています。1枚のカードにはオンシツツヤコバチの黒いマミー50個が糊付けされています。宅配便などで到着後ただちに温室内でセロファンの袋を破り、カ−ドを1枚ずつ丁寧に切り離して(重ねたまま切り離さないこと)トマト株の葉柄にセットする施用方法です。もちろん寄生されている部位の近くに吊り下げる方が有効です。
2)導入に際して、最も重要なことはタイミングと気温です。放飼時期は早ければ速いほど良い結果になります。定植時からトマト株の20〜30cm上に、黄色粘着トラップを10a当たり約10枚以上をセットする。セット後は1週間ごに誘殺されたオンシソコナジラミ成虫数を記録する。
3)粘着トラップにオンシツコナジラミ成虫が初めて付着するか、またはトマト株の上位2〜3葉をたたいて成虫を確認したら10日以内に第1回の放飼をする。10a当たりカ−ド42枚(1カ−ド当たりトマト50株)をトマト草丈の中央部の葉柄部にセットする。その後1週間間隔で4〜5回の連続放飼をする。

使用上の注意    
1)オンシツツヤコバチの生存日数は短いので、入手後直ちに位用し、使いきること。
2)導入前に散布した殺虫剤効果が完全に消失していること(できる限り散布しないか、散布後日数をできる限り長くする)。
3)できれば温室の開放部を1.0mmのネットで披覆しオンシツコナジラミの侵入を防止する。
4)温室内外の雑草を防除しオンシツコナジラミの増殖を防止する。
5)オンシツコナジラミの発生状況を黄色粘着トラップや肉眼で観察する。

防除効果の判断  
 オンシツツヤコバチを導入後、オンシツコナジラミの幼虫は高温〜25℃で約10〜15日目にカ−ド上と同様の黒いマミーになり、防除効果が確認され次世代に効果が発揮される(平均気温は18℃以上必要)。連続放飼4週間以上を経過した時点で、トマト株中位葉を観察する。 

エルカ−ル(Eretmocerus californicus)  タバココナジラミツヤコバチ

製品の姿

雌成虫

産卵体勢

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雌成虫

雄成虫

雌成虫の触角

雄成虫の触角


エルカ-ル(ERCAL) タバココナジラミツヤコバチ(Eretomocerus californicus)   
ツヤコバチの一種でタバココナジラミの防除に期待されている。オンシツコナジラミに対しても有効である。現在試験中である。

スリポ−ル(Oriius sauterri) ナミヒメハナカメムシ

製品の姿

ナミヒメハナカメムシ

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スリポ-ル  オウシュウヒメハナカメムシ(Orius laevigatus) オリスタ−  ナミヒメハナカメムシ(Orius asuteri)

ヒメハナカメムシの特徴:ヒメハナカメムシの成虫の体長は約3mmで体色は暗い茶色で翅には茶色又は灰色の模様がある。雌成虫は最高3ヶ月間生存し、その間に最高130個の卵を植物組織中に産卵する。卵はふ化後5齢を経過して成虫になる。幼虫は雑食性の捕食者で餌となる昆虫が不足した場合には共食いもする。

使用方法

1)ミナミキイロアザミウマの密度がは葉当たり1頭前後の時、株当たり1−2頭放飼する。本種は比較的増殖が早いので1−2回の放飼でよい。
2)1ボトルに成虫500頭が入っているので、作物の密度に応じて増減する。


デゲネランスカブリダニ(Amblyseius degenerans)

製品の姿

デゲネランスカブリダニ(プレパラ−ト)




ククメリスククメリスカブリダニ(Amblyseius cuccumeris)

ククメリス(Amblyseius cucumeris) ククメリスカブリダニ

カブリダニの分類は顕微鏡標本を作って調査する。



ククメリスカブリダニの特徴 ククメリスカブリダニ雌成虫の体長は約0.3mm、ベッコウ色を呈し、短めの脚で低い姿勢をり多くの短毛を有します。卵は真裏の主脈と側脈の毛上に産み付けられ、形は卵形で、大きさは直径絢0.14mmです.幼虫は若虫や成虫と違って3対の脚を持っており、何も食べずふ化した場所の近くに群がっています。第1若虫、第2若虫、成虫には4対の脚があり、前脚を触手のように使い捕食します。ククメリスカブリダニの捕食対象は主としてアザミウマ類の幼虫、ハダニ類の卵等が知られています。

1)ククメリスカブリダニは、25℃で6〜9日で卵から成虫に成長し、成虫は約20日間の生存期間に1日当り約6頭を捕食し、生存期間中、約50個の卵を生み増殖します。捕食活性は15℃から30℃で活発に見られ、温度が高い方がより活発に捕食します。 ただし、35℃以上になると、行動が鈍くなり、捕食能力も低下します。使用方法: 1)ククメリス製剤は、500mlのプラスチックボトル中に、50,000頭以上のククメリスカブリダニの成虫、幼虫を含み、その他成分としてカブリダニの餌であるケナガコナダニ(約10〜50万頭)が、約100gのふすまの中に混在しています.
2)キャップの内蓋を外して軽く1振りすると、約100頭のククメリスが得られます。 ククメリス製剤の利用にあたって、作物の定植後できる限り速やかに放飼して、作物にククメリスカブリダニを定著させることがアザミウマ防除に成功する重要なポイントです。例えば、定植後に作物の抹元へ放飼する方法は、アザミウマの飛来前にククメリスカブリダニを定着させる有効な方法の1つです。
3)まず、容器をゆっくり回転させ、中のククメリスカブリダニを均一にします。キャップの内蓋を外して軽く1振りすると、約100頭のククメリスが得られますので1株に1振り(約100頭)ずつ、株元に放飼してください。株元に潅水されるような栽培条件の場合には、下位の葉上に放飼してください。
4)発生初期の定着を確実なものにするために、7日おき3回の放飼を行って下さい。

使用上の注意
1)容器内でのククメリスカブリダニの生存日数は短い場合もあるので、入手後速やかに使用し、使いきる。
2)ミナミキイロアザミウマおよびミカンキイロアザミウマの密度が高まってからの放飼は十分な効果が得られないので、発生初期に最初の放飼をする。
3)本剤の放飼前後における薬剤散布は、天敵の活動に影響を及ぼす恐れがあるので、放飼前後の薬剤散布は避ける。
4)施設周辺の雑草等がアザミウマ類の発生源となるので除草を徹底します.
5)野外から侵入するアザミウマ類を防ぐために出入口は、2重、側窓に防虫ネット(1mm目)を張る。

防除効果の判断
 アザミウマ類の被害許容密度は極めて低いのでアサミウマの密度で判定するのは困難です。、被害葉や被害痕が全面に広がらないことで効果があったと判定します。

5.ハモグリバエ類  マイネックス((MINEX)ハモグリコマユバチ(Dacnusa sibirica)    

マイネックス(Dyglyphus isaea,Cacnusa sibirica) イサエアヒメコバチ、ハモグリコマユバチ

製品の姿

イサエアヒメコバチ雌成虫

ハモグリコマユバチ雄成虫

ハモグリコマユバチ雄成虫

ハモグリコマユバチ雌成虫

イサエアヒメコバチ雌成虫

ハモグリコマユバチ雄成虫前翅

ハモグリコマユバチ雌成虫前翅

イサエアヒメコバチ雄成虫

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イサエアヒメコバチ(Diglyphus isaea) ハモグリコマユバチの特徴 ハモグリコマユバチはヨーロッパ及びシベリアに広く分布しています。成虫は茶褐色〜黒色で、長い触角を持つ体長2〜3mmの蜂です。卵は卵形で灰白色、幼虫は頭部が尖り、老齢幼虫では体内の黄色い内容物が見えます。前輪は黄白色、雌雄の識別は前翅の緑紋の色で見分けます。雄は黒、雌は淡灰色。 ハモグリコマユバチは内部寄生性の寄生蜂で、成虫は生きているハモグリバエ幼虫の体内に産卵します。特に1令と2令幼虫を好んで産卵し、ふ化した幼虫はハモグリバエの蛹の内で成長します。羽化迄の平均発育日数は22.5℃の時15.7日で、ナスハモグリバエの19.7日よりも短く、天敵として有利に働きます。成虫の寿命は6.1日で、平均産卵数は71.1個です。イサエアヒメコバチの特徴イサエアヒメコバチはヨ−ロツパ、北アフリカ及び日本に分布します。又、アメリカ大陸、ハワイ、ニュ−ジーランドでこの種が導入されています。成虫は黒色で、触角は短く、体長約2mmの寄生蜂です。雄雌の識別は後脚の色の配色で可能です。イサエアヒメコバチは外部寄生性の寄生蜂で、成虫はハモグリバエを潜行痕の中で殺して、その傍ら に産卵します。ふ化した幼虫は潜行痕の中の死んだハモグリバエの幼虫を餌として成虫にまで成長します。寄主体液摂取も同時進行し、防除効果につながります。 卵から成虫までの発育日数は20℃で16.6日です。従って、夏期のように害虫の世代が重なっている時期には発育期間の短さが大きな利点となります。

 使用方法:
1)マイネックス製剤は、100mlのポリエチレンボトルにハモグリコマユバチとイサエアヒメコバチの成虫が夫々125頭づつ入っています。キャップには通気口がついており、キャップの裏には糖蜜をしませてありますが、ボトル内では長期間生存しにくいので、入手後はただちに温室内に放飼して下さい。マイネックスは比較的低温時に活動力の高いハモグリコマユバチと、比較的高温時に活動力の高いイサエアヒメコバチが1:1で混合されており、使用温度域が広がっています。
2)放飼はマメハモグリバエの発生しているトマトの株元で、容器を開封し、その株元の地表面に3日間継続して静置する。 3.放飼量はマメハモグリバエの発生状況により決めて下さい。 発生極初期から少量を導入して行くのが効果的で、経済的です。10a当りにして1本(発生初期)〜8本(多発時)で、 回数は1週間おきに3〜4回程度を目処にして、潜行痕が止まるまで放飼を続けてください。
3)マメハモグリバエの生息密度が高くなってからの放飼は十分な効果が得られないことがあるので、黄色粘着トラップ等によりマメハモグリバエがまだ低密度で散見され殆めた時に最初の放飼をすること。
4)両種寄生蜂は日中に放飼すると施設の天井部に集まる習性があるので、朝方又は夕方に放飼するか、繁残した作物の下へ放飼して下さい。。
5)天敵として両種が有効な密度(1m2当り各0・5又は1頭)を保つため、マメハモグリバエの発生初期より約1週間間隔で数回、新たに放飼することが望ましい。

使用上の注意
1)ハモグリコマユバチの活動には15〜20℃が最適な温度条件です。 イサエアヒメコバチの活動には20〜25℃が最適な温度条件です。
2)ハモグリコマユバチ及びイサエアヒメコバチの活動に影響を及ぼす恐れがあるので、本剤の放飼前後の薬剤散布を避けること。
3)天窓やサイドには寒冷紗を張り、マメハモグリバエの侵入を防ぐ。
4)施設内外の雑草を防除し、マメハモグリバエの繁殖を防止する。
5)施設の床面を清潔にし、マメハモグリバエの蛹を少なくする。

防除効果の判断 
 イサエアヒメコバチに寄生されたマメハモグリバエ幼虫は約3日で褐色〜黒色に変化するので、寄生率を見ることが出来ます.死亡率は50%以上、出来れば80%が目標です、ハモグリコマユバチによる寄生率は見取りでは困難です.また発生初期の導入で効果のあった場合は、食害痕が小さいまま止まるので判りますが、生きている若令幼虫の場合も食害痕は小さいので、注意する必要があります。更に詳しく知るには、落下したハモグリバエ蛹から後日羽化してくるハモグリコマユバチ成虫の割合を調べます。


6.コナダニ類  エントマイト トゲダニ(Hypoaspis aculeifer)          
現在研究中でほうれんそうのコナダニを対象としている。   

エントマイト(Hypoasis aculeifer) トゲダニの一種

製品の姿

バ−ミキュライト上のトゲダニ

トゲダニのプレパラ−ト写真


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7.カミキリムシ類
バイオリサ   ボ−ベリア菌(Bauveria brongnniatii)  製品のビデオ画像はこちら         

 ボ−ベリア菌の特徴  クワの害虫であるキボシカミキリあるいはカンキツの害虫であるゴマだらカミキリを防除するために選抜された糸状菌である。感染して死亡したカミキリムシは体表に分生胞子を形成し、それが次の感染源になることも大きな特徴である。

使用方法
1)カミキリムシ類の天敵糸状菌であるBeauveria brongniartiiの生菌を用いたシ−ト上の製剤である。この製剤のポイントは、カミキリムシ成虫が樹木を上下する修正を利用して、株元や枝の分岐部にシ−トを設置することである。
2)製剤の使用量は植栽本数によって決まる。1樹1シ−トが原則である。使用上の注意1)5℃で保存すれば生菌数の減少はほとんどないので低温保存を行う。
2)長期間効果を維持するためには確実に枝や幹に固定することが大切である。

効果の判定
 成虫を病死させる方法なので、直接被害の減少と結びつけて判定するには時間がかかる。処理園におけるカミキリムシの採集、飼育によって病死虫率を求め感染率を推定する方法が最も容易な方法である。

その他果樹害虫の生物農薬
 
 果樹栽培を例にして広い意味での生物農薬について今後の方向を考える。果樹では生物農薬の対象とすべき害虫は次のようなカテゴリ−に分けて考える。
1)現在、防除を殺虫剤、殺ダニ剤に依存している害虫。
2)防除手段が少ない難防除害虫。
3) 天敵に密度制御を依存している害虫で、潜在的害虫の一部分。 

果樹栽培で重要な事は花粉を虫又は風によって花に運び果実を実らせることである。化学農薬をこの時期に使うと、媒介昆虫であるミツバチやアブの類が果樹園で活動出来なくなる。カンキツの場合にはこの様な問題はないが、リンゴ、ナシ栽培ではそのために人工受粉という手間のかかる仕事が必要となり、コストの上昇をもたらしている。従って媒介昆虫に影響のない殺虫剤が要請され、その目的にかなったものとして出現したのが鱗翅目に効果の高いバクテリア製剤である。

 BT剤はBacillus thuringiensisという昆虫に寄生して病気を起こさせる細菌を利用したものである。この細菌は増殖した後、細胞内に芽胞(耐久性のある種子のようなもの)と昆虫の体内で溶解すると強毒を発揮する結晶性毒素をつくる。この毒素は昆虫の体内で強いアルカリにあうと溶解するが、鱗翅目(ハマキガ類、アオムシなどを含む)の幼虫では口器や中腸で溶解し、口器を麻碑させ食害を停止させたり、消化管が麻痺して消化・吸収が不能となって死亡させたりする。したがって効果はやや遅いが、作物の被害の進行は散布直後に停止する。 一方、鱗翅目以外の昆虫では消化器内が強アルカリであるものは少ないので、有用媒介昆虫であるミツバチやマメコバチなどには全く影響がない。このような特性を生かして現在用いられているケースは、リンゴのハマキムシ類、ヒメシロモンドクガの五月防除である。遅効的なので、幼虫の生存が10日後でも見られるが、摂食を停止しているので実害はない。 現在他の果樹では登録されていないので使用できない。またこの時期の重要な害虫であるアブラムシ類などの吸汁性害虫に効果のないのは大きな欠点であり、今後他の防除手段との組み合わせ を研究しなければならない。
ハマキムシ類に対して顆粒病ウイルス(GV)、核多角体ウイルス(NPV)の利用がある。リンゴコカクモンハマキは幼虫が葉をつづって食害するが、第二世代・第三世代の幼虫は果実にも加害する。特に葉と果実が接触している部分に隠れて食害し、”なめり果”と呼ばれる商品価値のない果実をつくり出す。 リンゴコカクモンハマキは、六月に第一世代の幼虫が現れる。この時期にGVの散布を行った例を表1に示した。 GVは感染後、幼虫の体内で増殖し、老熟幼虫にまで成長した後死亡が起こる。したがって、その世代での効果は少ない。しかし第二・第三世代の幼虫密度は低下し、果実への加害が減少し、実用的に用いることができる。 ハマキムシの発生が多く、第二・第三世代の生き残りの幼虫が多いと予想される場合にはNPVを用いる。NPVは10日、14日で効果が発現するので第二・第三世代の防除に適している(表2)。 これらのウイルスの生産は現状では寄主であるハマキムシを飼育して感染させることにより行う。生産費の大部分を占めるのは病害虫の拾い出しや飼育のための人件費であり、大量生産によるコスータウンをするには、大規模な自動飼育システムを確立する必要がある。ま た将来的には寄主昆虫の培養細胞上でウイルスを工業的な手法で製造することが研究されている。果樹における現在の利用状況はまだ未登録であるため、農薬としての利用はできないことから、今後、農薬としての登録問題が解決されれば、他の農薬との混合布などもできるというウイルスの特徴を生かして、抵抗性害虫防除の有効な手段となろう。 

 果樹害虫の中で飛来性の害虫や枝幹害虫は薬剤防除が難しい。防除のために微生物の利用が考えられた例は吸蛾顆に対する細胞質多核体ウイルス ナカイガラムシに対する紫赤きょう、ゴマグラカミキリに対する寄生性線虫などである。 特に寄生性線虫の利用はこの線虫の大量生産が確立されたこともあって、今後大いに期待できる。対象害虫もゴマタラカミキリムシに限らず、鱗翅目害虫に対しても有効であり、害虫との接触方法について工夫すれば難防除害虫対策の大きな力となり得る。 

 果樹における薬剤抵抗性害虫の発生の例は、ハダニ類を除いては少なかった。最近ではワタアブラムシやリンゴのハマキムシ類、カンキツのミカンハモグリガなどがある。これらの害虫は作用特性の異なったピレスロイド剤やIGR剤の使用によって当面問題は少ないが、将来抵抗性がつくことが予想される。 ハダニに対してはカブリダニの生物農薬化が計画されている。薬剤抵抗性対策として、殺ダニ剤に替えて一般果樹園で使うのは荷が重く、ブドウ、カンキツなどの施設での使用に限られる。ハダニに対しては天敵微生物(糸状菌・放線菌など)の利用も重点的に考えるべきであろう。 

 ハマキムシ、シンクイムシ、ハモグリガなど主要害虫は性フェロモン使用による交信攪乱防除が実用化の段階に入っている。使用できる圃場の条件に制限があること、潜在害虫が表面化するなど欠点があり、全面的に殺虫剤に替える事は出来ない。減農薬や薬剤抵抗性対策としての意味が大きい。 散布者の健康問題などから、施設内での薬剤散布を回避するために生物農薬が求められ場合も多い。ミカンでは特にハウス栽培が盛んで、時期外れに害虫が発生し、防除に苦労する。ハウス内での薬剤散布は特に敬遠したくなるのが人情である。ハウス内ではハダニ、コナカイガラ、アブラムシの発生が多く、時にはケムシ類の発生やコナジラミ、アザミウマ等の異常発生も見られる。現在の所は薬剤散布の完全無人化、自動薬剤散布装置の開発等の方法がいろいろ考えられている。しかし害虫が薬剤に抵抗性をもってしまった場合には無力である。生物農薬としてハウス内で有望なものはハダニ、アブラムシに対する捕食性昆虫、捕食性ダニであり、コナカイガラムシに対する寄生蜂、アザミウマに対するハナカメムシ、鱗翅目幼虫に対する寄生性線虫なども期待される。次世代にしか効果の出ないウイルス、 糸状菌、原虫等は効果が期待できない。 第3のグル−プで生物農薬が有効な働きをするものは少ない。その理由は天敵による死亡はすでに有効な天敵が存在する場合には加算的な効果ではなく、一定の死亡率の中での競合となりやすいからである。しかしながらこのグル−プでは何らかの原因で天敵が減少した場合に、それをすばやく補充するために、天敵を増殖して配布できる体制を作る必要がある。これも広義の生物農薬といえるが、商業ベ−スに乗せるのは難しい。 

生物農薬の将来 
合成殺虫剤による防除ををすべて生物農薬や他の方法に替えることは出来ないし、その必要もない。合成殺虫剤の持つ利点を活かし、短所を補うような使い方、または生物農薬を主として、合成殺虫剤を補助に使うことが目標となる。生物農薬の研究が始められてすでに30年以上経ったが、実用化されたものはごく一部に過ぎない。その原因はどこにあるのだろうか?一口にいうと価格が高く、効果が安定しないためである。生物農薬普及の鍵は次の様な点が考えられる。生産コスト:天敵を量産するためのコストで餌(培地)が人工的なものであれは安く、生物であれば高くなる。昆虫ウイルスやタマゴバチ等では現在人工餌(培地)に移行しつつある。流通コスト:天敵は生きているので時間とともに死亡し、効果が低下するものが多い。昆虫ウイルスやバクテリアのように変化の少ないものでは安く、寄生蜂、捕食虫などは保存のための低温施設が必要なので非常に高くつく。使用コスト:生物農薬を園地に処理する時、薬剤散布と同じ方法なら安く、特別な方法を要すると高くなる。線虫等は移動力が少ないので特別な処理がいる。捕食虫も機械で扱うことは困難なので高くつく。寄生蜂は自力で移動 できるので放飼地点に置くだけ(他の昆虫に捕食されないような保護は必要)ですむので安い。生物農薬は一般的に特定の害虫に対して効果が高いが、その他の害虫には効果がない場合が多い。従って生物農薬の種類や回数を増やさなければならないのでコストは必然的に高くなる。