現状の箱施用処理による害虫防除は天敵の活動を容易にしている。鱗翅目害虫・ウンカ・ヨコバイ・ハモグリバエ・ドロオイムシなどの被害防止は在来天敵の利用が可能である。カメムシの防除および特定害虫の異常発生時に薬剤散布が必要となるので、そのための薬剤を確保する必要がある。天敵では特にクモ類の保護を中心に水田の構造を考慮する必要がある。現状でも畦・水路ののり面など、越冬に適した構造である。畦に育成する植物の種類については種々の工夫が必要であるが、カメムシ類の餌植物とならないこと、ウンカ・ヨコバイなどの卵寄生蜂の共通寄主が生息できることなどが重要であろう。総合防除体系の確立には希望が持てる。
|