50.雄を求めて奇形・変形 ウメシロカイガラムシの交尾
カイガラムシの雄は3令幼虫から蛹を経て成虫になります。雄成虫には立派な翅があって、飛行可能にも見えますが、全体としては弱々しい体型です。雄の役目はこの虫の場合にも交尾をして子孫を残すことです。雌成虫は幹や枝に固着していますから、雄がそこまで飛んでいかなければなりません。そこで、雌は強力なフェロモンを発生し、雄を誘引します。雌は体の上にカイガラをつくって、外敵に対してガ−ドを固めていますが、この時期には尾端をカイガラの隙間から外部に出し、フェロモンを分泌し、雄が交尾しやすいような体勢を作ります。もし交尾が出来ないとそれ以後、カイガラを作る作業をやめて虫体がどんどん外部にはみ出してきます。結果として産卵しても不受精卵ですから無効になります。交尾期の天候や薬剤散布で雄が減少したときには、このような哀れな姿のカイガラムシが多数見られることがあります。