カキホソガのもう一つの芸 



 カキホソガの幼虫はカキの葉肉を餌にしている。糞は自分が葉肉を食べて作った空間に次々に詰め込んでゆく。通常潜葉性の蛾の幼虫ではよく見られる行動である。その糞を顕微鏡で見ると、驚いたことに消化されなかった繊維質と共に菱形の透明な結晶体が排泄されている。
この結晶体は長軸が0.5mm短軸が0.3mm程度で比較的大きなものである。昆虫のマルビギ−管や排泄物中に尿酸などの結晶を含むことは良く知られているが、それは5-10μの微少な結晶であり、肉眼でも見える程のものを排泄することは非常に稀である。この結晶はアルカリ・酸にも強く、現在のところ成分不明である。カキの葉にはカテキン類を中心として多くの特殊成分が含まれていると言われている。カキホソガの幼虫は発育に不要なそれらの物質を無害にして排泄しているのではないだろうか。


                 菱形の透明な結晶体                      結晶体を集めたもの