白い寄生蜂

 動物の世界で白い個体はトラの類から魚類まで珍しがられ、たびたびマスコミにも取り上げられる。昆虫の世界ではモンシロチョウのように白いチョウ・ガの類には事欠かない。また甲虫などにも白いペンキを塗ったような虫がいる。しかし、寄生蜂の世界では黄色の蜂は多いものの白い蜂には滅多にお目にかかれない。トビコバチのある種のものは白色部が多く(トボシワタカイガラトビコバチ)美麗種とされている。30年来、在来寄生蜂を見続けてきた自分にとっても白い蜂がいるとは信じられなかった。

 最近水盤とラップで採集した中に1個体だけ全身白色(個眼=赤、前伸腹節の一部=黒色、触角の先端=褐色)の蜂が捕らえられた。この蜂は色のある蜂の白色型ではなく、本来白色と思われた。触角、翅脈,脚部の特徴からクロタマゴバチ科、アリガタバチ科、コマユバチ科等の可能性があるが、所属不明といった方が正確である。乳白色のこの蜂が生きていて太陽を浴びている姿はどんなに美しいかと思わせる。