昆虫の卵に寄生する蜂の特徴
昆虫の卵に寄生する寄生蜂はたくさんいるが,キイロタマゴバチ科に属するものには後ろ脚の附節が3節であるという絶対的な特徴を持つので,他の蜂から容易に区別できる。この科は世界中に分布し,多様化が進んで90属ほど記録されている。形態的には1mm以下のものが多く,はねや触覚に変化が多い。同じ昆虫の卵に寄生するにもかかわらず,形態に差があるのは寄主卵の産卵場所の特異性に適応したものと考えられる。水中に産卵された卵に寄生するには,水に潜る必要があり,植物の組織内深く産卵されたもの,オトシブミ卵のように葉にくるまれたものには長い産卵管が必要である。寄主が特定されていない蜂も多いので,形態から対象昆虫の産卵場所や種類を想像するのは楽しいものである。アザミウマの卵(長さ0。2mm)に寄生するためには自分自身が更に小型化する必要のあったアザミウマタマゴバチはとうとう世界一小さな昆虫という記録を作ってしまうことになる。