103バルーンを持つムカシホソハネコバチ
この寄生蜂の寄主が何であるかは謎となっている。現存するこの科の蜂は少なく,古い時代のコハク中に見いだされて記載されているものが多いのが特徴である。蜂類は腹柄が腹節の変化したものである。しかしこの蜂では第2腹節・第3節も腹柄を形成している。この特徴はアリ属では普通なので,ムカシホソハネコバチは蜂と蟻つなぐchain species であるといえる。もう一つの大きな特徴は前はねの中央部にキチン化した網状の膨張部を持つことである。すべての蜂類の前はねは表裏一体であるが,この蜂では風船のように表と裏ははっきりと区別されている。機能的には空中浮遊に適応していると考えられる。
この生きている化石は始めコハクの中で発見され記載されたが,生きているものが発見されたのは1955年同じヨーロッパであった。わが国に棲息することは吸引粘着トラップが使用されるようになっ1970年代で捕虫場所は茶園であった。その後カンキツ園、ナシ園、ダイズ圃場など各種作物の園地で捕らえられている。このことから日本全国に棲息する普通種と思われるが個体数は少ない。1mm以下の小型の蜂なので見るみる機会はほとんどなく,ホソハネコバチに間違われている可能性が高い。寄主卵が何かは特に興味深い。コハクが生じた何億年前から棲息していた昆虫だろうと想像されるからである。