病原菌の生物防除
病原菌の発育を阻害する生物はすべて生物防除の素材と考えられます。一般的に知られている生物は細菌、糸状菌、線虫などの拮抗生物や、寄生性生物などの微生物であり、実用化しているものもあります。しかし、自然界の多様性には際限がありません。昆虫に関しては菌類を餌にする虫としてキノコムシ類のようにその類の名前が付いている甲虫類もありますが、養菌昆虫という一群が有名です。ハキリアリ、アンブロシアキクイムシ、キバチ、オトシブミ等は餌にする菌を自分たちで管理するのです。しかしこれらの菌は病原菌とは考えられていません。病原菌を餌にする昆虫となると大変珍しくなります。そのなかでカビクイテントウムシ科に属するキイロテントウはどこにでも見かける小型のテントウムシです。このテントウムシが食べるのはいろいろな植物の葉に寄生するウドンコ病菌です。湿度の高い施設栽培では重要な病害です。キイロテントウの口器はウドンコ病菌の胞子や菌糸を掻き取る特殊な構造を持っています。他の餌を食べることはありませんから、生物農薬として有効に利用することも夢ではありません。
キイロテントウ-植物病害の天敵として-
大量飼育--利用植物(イチゴ)のウドンコ病菌
他のテントウムシのような幼虫の共食いはないので集団飼育ができる.
経過・習性--発育温量・産卵数・性比
ウドンコ病菌との相互関係‐-被食コロニ−の回復過程・テントウによる菌の伝播
キイロテントウ関連文献の検索
ウドンコ病菌の胞子や菌糸を食べるキイロテントウ | 菌糸や胞子を掻き取って潰す大顎 | 大顎に備わっている鋭い歯 |