クリタマバチのゴ−ルは栄養満点 チュウゴクオナガコバチの本当の餌は?
クリタマバチのゴ−ル肥大期は4月中旬です。このときゴ−ルの中にはクリタマバチの中齢幼虫がいます。チュウゴクオナガコバチはこれをめがけて自分の卵を産み付けます。ふ化した幼虫は当初ゴ−ルの組織を食べ、2齢に脱皮後はクリタマバチにとりついて体液を吸い取ってしまいます。5月上旬には吸い尽くしてしまいますが、まだ餌が足りません。そこでこの蜂は本来クリタマバチの餌となるはずであったゴ−ル内壁を食べ始めます。5月下旬、綺麗に内壁を食べ尽くしたオナガコバチは終齢幼虫となり、12月に蛹となるまで、長い夏眠に入るのです。このように他の蜂の作り出した餌を横取りするのが専門の蜂は同居者と呼ばれますが、チュウゴクオナガコバチは純粋な寄生蜂と同居者の中間の性質を持つ、逞しい蜂だったのです。
チュウゴクオナガコバチ(左)、クリタマバチ(右)の幼虫 オナガコバチはクリタマバチを最初は餌にする 餌が足りない幼虫はゴ−ルの壁を食べる