吸入式注射器を持っている虫
チャバネアオカメムシの唾液腺と唾液ポンプ 


 チャバネアオカメムシの唾液腺(Salivary glands)は1対あり、それそれが袋状の主腺(前葉、後葉)と1本の細長い盲管である付属腺から形成されている。前葉及び後葉の腺では常時分泌液が蓄えられているが、付属腺は管状で貯蔵部が見られない。
 付属腺で生産された液は前葉と後葉の境界部で(前葉+後葉)液と混ざって輸出管(Salivary duct)から唾液ポンプ(Salivarium)に供給される。唾腺で作られた唾液は1対の輸出管から円筒形をした唾液ポンプに供給される。
 唾液ポンプ前端からピストンの吸引によって吸入され、ピストンの押し込みによって口針の基部に注入される。吸入孔は一種の弁の役割もする。ピストンの基部には筋肉の付着した腱が接続されている。その構造は図のようなものである。