あちこちに心臓を持つわけ 
チャバネアオカメムシ後胸背板内の拍動器官 


 チャバネアオカメムシは体液の循環のため、通常他の昆虫で見られる頭部や脚部などの他に、後胸部背板の裏面に特に発達した拍動器官を持っている。この器官は小楯板にあり、色素を欠く透明な部分が存在するため、体表を通して外部からその拍動が観察できる。拍動は繊維質の5−6本の糸で弁が動かされることによって行われる。リズムは等間隔ではあるが、停止期もしばしば現れる。拍動と飛翔行動など種々の刺激との関連を調べたが明らかに連動しているものはなかった。輸液が体のどの部分に送られるかについても明確ではなかった。

 頭部の拍動器官(中央部に管状に形成されている)