チャバネアオカメムシのふ化(胚脱皮) 


 カメムシ類は卵から幼虫がふ化するときに卵破砕器(Egg Burstor)という特長のある器官を使って卵の蓋を開ける。この器官は幼虫を包んでいる胚表皮の一部に形成されるものでT状をしている。この先端部で蓋を下から突き上げ、頭部を左右に動かして、隙間を徐々に広げ開口する。
この器官の形成される胚表皮はカメムシ幼虫の全体を単に袋状に包んでいるのではなく、脚や口吻等に表皮のように同じ型に形成されている。従ってふ化と同時に脱皮が行われると考えてもよい。幼虫の孵化と同時に頭・胸部内に収容されていた口針は脱皮に伴って口吻中に引き出され、口針の脱皮で孵化が完了する。卵破砕器を表面に持ち口吻・脚・触角・口針などを包む脱皮殻は幼虫の脱出に伴って卵内に残される(胚脱皮)。


                            脱皮の時に口針を包んでいた表皮が同時に抜けるのが見える。