エンストリップ(Encarsia formosa)  オンシツツヤコバチ

製品の姿雌成虫雌成虫
 
雌成虫(プレパラ−ト)コナジラミ体内のツヤコバチ蛹
 


オンシツツヤコバチの特徴 
オンシツツヤコバチ雌成虫は、体長約0.6mm、頭部は濃褐色、胸部は黒色で側面は黄色、腹部は黄色で脚部は黄褐色である。雄成虫は雌よりもやや大きく腹部が黒褐色である.原産地はアメリカ南西部とされています.オンシツツヤコバチは、卵、幼虫(1〜3令)、蛹、成虫を経過し、成虫を除いて全てコナジラミ幼虫や蛹の体内で発育します.繁殖方法は、産雌単為生殖で雄は過寄生の時に出現し繁殖には関与しません。寄生活動の最適温度は25℃前後、最適湿度は75%とされています。発育零点、産卵限界温度は11℃前後、飛翔限界温度は17℃、30℃の雌成虫の寿命は数日といわれています。 雌成虫の飛翔距離は10〜30mで、葉裏に寄生する幼虫を探索します。雌成虫の寿命は2〜3週間ではコナジラミ2〜4令幼虫(特に3〜4令前半)に産卵し、産卵寄生されたフナジラミ幼虫は4令中期まで発育し10日(平均25℃で)で黒化するので未寄生のものと容易に区別できます。 最適温度での総産卵数は約300卵、1日当りの産卵数は約16卵といわれています。また雌成虫は栄養摂取の目的でコナジラミの甘露を摂取したり、2〜4幼虫に産卵管で穴をあけて体液を吸収し死亡させる習性で、雌成虫当り約150頭の幼虫 を餌とする。                     
使用方法:
1)オンシツツヤコバチの製剤は1箱に3×4cmのカ−ド6枚つづり(切取線でつながっている)が7枚、計42枚のカードが入っています。1枚のカードにはオンシツツヤコバチの黒いマミー50個が糊付けされています。宅配便などで到着後ただちに温室内でセロファンの袋を破り、カ−ドを1枚ずつ丁寧に切り離して(重ねたまま切り離さないこと)トマト株の葉柄にセットする施用方法です。もちろん寄生されている部位の近くに吊り下げる方が有効です。
2)導入に際して、最も重要なことはタイミングと気温です。放飼時期は早ければ速いほど良い結果になります。定植時からトマト株の20〜30cm上に、黄色粘着トラップを10a当たり約10枚以上をセットする。セット後は1週間ごに誘殺されたオンシソコナジラミ成虫数を記録する。
3)粘着トラップにオンシツコナジラミ成虫が初めて付着するか、またはトマト株の上位2〜3葉をたたいて成虫を確認したら10日以内に第1回の放飼をする。10a当たりカ−ド42枚(1カ−ド当たりトマト50株)をトマト草丈の中央部の葉柄部にセットする。その後1週間間隔で4〜5回の連続放飼をする。
使用上の注意    
1)オンシツツヤコバチの生存日数は短いので、入手後直ちに位用し、使いきること。
2)導入前に散布した殺虫剤効果が完全に消失していること(できる限り散布しないか、散布後日数をできる限り長くする)。
3)できれば温室の開放部を1.0mmのネットで披覆しオンシツコナジラミの侵入を防止する。
4)温室内外の雑草を防除しオンシツコナジラミの増殖を防止する。5)オンシツコナジラミの発生状況を黄色粘着トラップや肉眼で観察する。
防除効果の判断  
オンシツツヤコバチを導入後、オンシツコナジラミの幼虫は高温〜25℃で約10〜15日目にカ−ド上と同様の黒いマミーになり、防除効果が確認され次世代に効果が発揮される(平均気温は18℃以上必要)。連続放飼4週間以上を経過した時点で、トマト株中位葉を観察する。

Encarsia属の寄生蜂は多くの種を含むので分類の難しい群である。オンシツツヤコバチに類似してコナジラミ類に寄生するものは日本では5種知られている。多くの場合雌成虫の体色や蛹の色で容易に区別ができる。細かい点でも差があるので以下いくつかの例で3種の相違点を示してみた。