生物農薬の由来
農耕地及び周辺環境の多くの昆虫とその天敵類、病原菌とその拮抗微生物は農作物の病害虫を制御する重要な資源である。生態系の機能を有効に利用したり、新たな天敵の導入を図ったり、害虫や天敵の行動を少量の化学物質で制御するなどの手法を用いて昆虫との共生を目指すのが今後の害虫防除の方向である.,
また天敵を利用する際に忘れてならないのは、このような害虫の防除に役立つ天敵を餌とする高次寄生者や高次捕食者が存在することである。病原微生物も有用な天敵を倒すことがある。このような食物の連鎖をよく知らなくては天敵をIPMに利用することは困難である。
天敵の種類
1)寄生性天敵:
害虫の卵・幼虫・成虫に寄生する変化に富んだ生態を持つ各種の昆虫・ダニ類で、ヒメバチ、コマユバチ、コバチ類、などの寄生蜂、 寄生バエ類、寄生ダニなどがある。
2)捕食性天敵:
害虫の卵・幼虫・成虫を捕食するものでクモ・ダニ類、テントウムシ類、アザミウマ類、捕食性カメムシ類鳥類など、色々な動物がいる。
3)病原微生物天敵:
昆虫の様々な発育時期に体内に侵入して害虫の発育を阻害し、死亡させるウイルス、糸状菌、細菌、原生動物、線虫など。